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【第一回】
2倍買い取りの対象となる売電量は、
自己消費分に大きく左右されます

2009年11月より開始予定の「新たな買い取り制度」の情報が、メディアを賑わせています。太陽光発電システムをさらに普及させるために、電気の買い取り価格を現行の約2倍にしようというこの制度に、おなじみのえころさん一家も色めきたった様子。いつものようにゼロハイム博士を自宅に招き、新買い取り制度への対処法をレクチャーしてもらうことになりました。
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(チャイムの音)ピンポ~ン♪

こんにちは、博士!

ちは!

やあ、こんにちは、ヒカリくん、エネちゃん。お出迎え、ありがとう。

博士、またいらしてくださって、ありがとうございます。

あれ? 奥さん、旅行のご準備ですか?

太陽光発電の電力買い取り価格が2倍になるっていうから、もううれしくって♪売電代をためて旅行に行こうって今、相談してたんです。

それは気が早いですねぇ(笑)。

博士、ようこそいらっしゃいました。

こんにちは、えころさん。

ごらんのとおり、2倍になるというんで、ウチの奥さんが舞い上がっちゃって(笑)

そのようですね(笑)

でも、2倍になったら、ホントに旅行代がたまるかもしれないです。ですから博士、新しい制度でご存じのことを教えていただけますか?

新しい買い取り制度については、いろいろメディアに情報が流れていますが、まだ正式には決まってないんですよ。ですので、すでに公開されている情報以外は仮定のお話になりますが、よろしいですか?


ええ、もちろん!

ではまず、
固定価格買い取り制度(Feed-in Tariff, FIT)
について、ご説明します。
この制度は、太陽光発電システムで発電した電気の買い取り価格を法律で定め、導入後一定期間の買い取りを保証するものです。地球温暖化対策や環境保護対策の一環として、新エネルギーの普及拡大のために作られました。ご存じのようにドイツやスペインでは、この制度が導入されてから飛躍的に太陽光発電を搭載する一般家庭が増え、一気に普及が進みました。

これまで日本の太陽光発電設置量が世界一だったのに、この制度になってから、あっという間にドイツに抜かれちゃったんですよね?

ええ。その分、電力会社の負担が増えないように、太陽光発電のないご家庭にも一律で電気料金を上乗せするのが、この制度です。ヨーロッパでは、月々の電気代が300~500円値上がりした例もあるようです。

ソーラーがないお宅の電気料金が上がるのは、お気の毒だわ。

しかし、これで太陽光発電の普及に弾みがつきますよね。もともと環境にいいのはわかってるんだから。

ええ。政府は2020年に現在の20倍以上の導入をめざしているようです。しかし、日本の買い取り制度には、ドイツやスペインと異なる点がありますので、そこをご注意ください。


どんな点ですか?

ドイツやスペインでは、家庭で発電した発電量全部を決まった価格で買い取ります。しかし、日本では、余剰電力のみを買い取る方向で検討されています。

余剰電力って?

余った電気ということだから...自己消費分を除いた売電電力ってことですか? 発電した分を全部買い取ってくれるわけではなくて。

ええ。これは日本独自の制度です。ヨーロッパの制度と混同しないように、「太陽光発電の新たな買取制度」とか、日本版フィードインタリフなどと呼ばれています。そのかわり、ソーラーのないご家庭にも配慮して、月々の電気料金の負担は、今より数10~100円程度に抑える方向のようです。買い取り価格も、導入当初は2倍ですが、年度ごとに下がっていくようです。

ドイツやスペインと結構違うんですね。ウチみたいに、すでに太陽光発電を搭載している家庭からも、2倍で買い取ってくれるんですよね?

これから太陽光発電を付ける人だけ、なんてことはないですよね?

それは大丈夫です。

あ~、よかった。

これで安心したわ。

では、ここで余剰電力について復習しておきましょう。「太陽光発電と電力量の関係とは?」でご説明した内容とかぶりますが、余剰電力とは下の図の部分になります。

そうね。昼間の余った電力だから、売電と同じことよね。

えころさんのお宅の太陽光発電システムの容量と、年間発電量・売電量を教えていただけますか?

ええ、ちゃんと記録してありますよ。
太陽光発電システムの容量は博士もご存じのとおり、4kWですね。
それから1年間の発電量が約3900kWh。
1年間の売電量が、約2300kWhです。

ということは、1年間の発電量3900kWhから売電量2300kWhを引いた1600kWhが自己消費分というわけですね。では、下のグラフをごらんください。

あれ? このグラフ、見たことあるぞ。

「太陽光発電と電力量の関係とは?」の第3回で、登場したグラフとほぼ同じです。数値は微妙に違っていますけどね。このグラフは、年間消費電力量が7143kWhのオール電化住宅を想定したモデル例です。その住宅に住むモデル家族が、3kW、4kW、5kW、6kWの太陽光発電を搭載した場合を試算しています。

実際にあるお宅ではなく、モデル計算なんですね。

実際にあるご家庭で、同じ時期に容量を変えて各電力量を測るのは、物理的に不可能ですからね。さて、ここで問題です。このグラフから発電量を読み取るにはどうしたらいいですか?

そんなの簡単ですよ。売電量と自己消費量を足せばいいんだ。

正解です。
ちなみに、モデル例の発電量をそれぞれ計算すると、
3kW 1409+1526=2935kWh
4kW 2255+1659=3914kWh
5kW 3128+1766=4894kWh
6kW 4025+1850=5875kWh
となります。

4kWのモデル例とウチを比べたら、モデル例の発電量が3914kWhだから、ウチとほぼ同じですね。売電量はウチの方がちょっと多いかな。

3kWと6kWの発電量に注目してみてください。

3kWが2935kWh、6kWが5875kWh......6kWは3kWのほぼ2倍ですね。

そのとおりです。同じ家族が同じ家で太陽光発電の容量を2倍に変えただけですので、発電量も2倍になります。

同じ家族が同じ家で......あれ?それだったら、自己消費量も同じにならなきゃおかしくないですか?だって太陽光発電の容量を変えただけで、間取りや家電製品の数は変わらないわけでしょ?

いいところに気づかれましたね。おっしゃるとおり、容量が増えるにつれ自己消費量も少しずつ増えています。

不思議だなぁ。

では次に、自己消費量と買電量を足してみてください。

自己消費量と買電量を足すんですか?
えーと、ママ、電卓どこ?

計算してみるわね。
3kW 1526+5617=7143kWh
4kW 1659+5484=7143kWh
5kW 1766+5377=7143kWh
6kW 1850+5293=7143kWh
あら? 全部同じ数値になっちゃたわ。

そうなんです。考えてみてください。自己消費量+買電量はなにを表しますか?

自己消費量は昼間発電して自分たちで使った電気、買電量は足りない分を購入した電気...まあつまり、わが家で使った電力量、ということですよね。

そのとおりです。つまりモデル例では、搭載した太陽光発電の容量が変わっても、自分たちで使う電気の量は変わっていないんです。その模式図を、4kWを例に作ってみました。

だったら、どうして容量ごとの自己消費量が微妙に変わるんですか?

そこをこれからご説明していきましょう。自己消費量をより深く知る、いいきっかけになりますよ。
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